反逆の佐渡ミニロゴ
反逆の佐渡ロゴ

反逆の佐渡











F15J

 

第十―章 『疑念』

1、白線 (佐渡皇国陸軍司令 舟崎 那由他)

82式指揮通信車指揮車は風を切り走る。

空には複数の飛行機雲、恐らくF15?

時折、低空飛行で地表を震わせる。

明らかに威嚇行動・・・みさ姉はなぜ待機を命じたのだろうか?

私は唇を噛む。

佐渡の空を蹂躙されている……あの日のように……

指揮車は金北山の駐屯地に入った。

 

上空にはF15Jが旋回している。

みさ姉のようにカンが働く訳では無いが…何かがおかしい……

 

まるで何かを恐れているよう……それは私達では無い気がする……

 

先に指揮車から転がり出てゲロゲロやっているタカヨシに声をかける。

「おい、タカヨシ……オマエ何か心当たりがあるんじゃないか?」

一通り吐き終わって、フラフラとタカヨシは立ち上がる

「さあ? 別に何も聞いてないぞ」

「じゃあ、あのオッサンに電話して聞いてみろよ」

「足利先生に? いつも通り……何も教えてくれないって…………」

やっぱりコイツのような下っ端の鉄砲玉議員には何も知らせていないか……

使えない役立たず議員を見下していると……

突然何かを切り裂くような轟音が走る。

 

私は空を仰ぎ、目を疑った。

上空のF15Jと思われる戦闘機から白い線が伸びている。

数秒遅れで爆発音が響き渡った。

 

どこだっ!?

どこに撃った?

周りを見渡すと北の方、レーダードームから煙が上がっているのが見えた。

 

ばかなっ!

なぜっバラモンの占拠するレーダードームを攻撃する?

真っ青な顔でボケボケっと立ち尽くすタカヨシに蹴りを入れる。

「ぐえっ、那由他っいきなり何すんだ!!」

「早く防空壕へ入れっ、ゲロ吐いてる場合じゃないぞっ」

私も防空壕の入り口に向かって走る。

 

何かとても・・・まずい事が起きた。

ような気がする。

 

2、想定内 (佐渡皇国元帥 近衛侍従長 新田 國子)

みさを閣下はじーっとモニターに見入っている。

いったい何故急に空自が動いたのか!?

 

この数・・・通常の防空戦力をはるかに超えている。

一斉に対艦ミサイルでも打たれたら……

 

「敵機、地表に向かいミサイル発射。」

なにっ!?

私は動揺を必死で隠そうと、胸を張る。

「着弾位置、報告いそげっ」

 

「レーダードーム……」

みさを閣下がぼそっとつぶやく。

この人は頭の中で敵と戦っている……この一手の意味も解しているのだろう。

「着弾位置、J/FPS-5から0.05ウエスト」

 

わざと外したのか?

 

みさを閣下がニヤリと笑った。

「オープンチャンネルとホットライン開いてっ、緊急放送!」

緊急回線が開かれ、モニターに足利一郎と将官達が映し出される。

速い、まああっちが仕掛けて来た事だ……準備をしていたのだろう。

足利一郎は苦虫をかみつぶしたような顔をしている。

空自の空将が数人座っている……この作戦を考案したのは彼らか?

 

みさを閣下がにっこり微笑む

「ようこそ!!うえるかむ佐渡っ!」

みさを閣下は立ち上がり胸を張った。

「サド・キンザン・ノボレ、繰り返す。サド・キンザン・ノボレ」

何故か日本政府側に明らかな動揺が走った。

何故?

仕掛けて来たのは彼らなのに?

というか何?

あんな作戦暗号を設定した事は無いはず……

みさを閣下は着席すると余裕の笑みを浮かべる

「やるっ?やめるっ?」

足利一郎議員は冷や汗をダラダラ流しながら答える。

「やめろっ、いったん引いて話し合おう」

「いやっそれはしかし・・・」

空将が議員を制止しようとする。

「黙れっ、飛行機を戻せっ。戦艦もだっ。お前たちも信用出来ん。」

足利議員は完全に取り乱している。

戦艦?それを言うなら護衛艦では?

などとは誰も突っ込まない・・・

「話し合いで解決しよう。我々には対話の用意がある」

みさを閣下はニヤッと恐ろしい笑顔を浮かべた。

「じゃあ、F2とF15Jの収納急いでっ 投降者は低調に扱って」

投降者?

まさかっ、いつの間に空自からの賛同者を集めたの?

空将が真っ青になる。

「まさかっ……」

チェックメイト・・・みさを閣下の心の声が聞こえてきそうだ。

 

3、予想外 (佐渡皇国軍 大元帥 楠みさを

さて?

いったい何が起きたんだろう?

佐渡皇国軍に加わろうとする勢力が現れたのだろうか?

彼らの反応から、その可能性は大変高い。

あの場にいる者全てが疑心暗鬼になる理由……レーダーサイトに撃ったミサイル……

 

まさか陸自に何か……まさかバラモンが離反した?

あの日以来この国のシビリアンコントロールはガタガタだ。

国を守る為の自衛隊に「守るな」と命じたあの日から……

政府に市民の虐殺を命じられた場合。その命令に従うべきか?

全世界の軍隊が持つジレンマ……

 

いつものハッタリ。

サド・キンザン・ノボレ・・・に対する反応

あ、やっぱりそうだ…

 

足利のおっちゃんが信じられるのは空自のみ。

つまり陸自に何かあったと捉えるべきか……

空自にも揺さぶりをかけつつ……

 

しかし、何かが変だ。

指揮がずば抜けて良い時と悪い時の差がデカすぎる。

足利のおっちゃんを操り、何らかの結果を引き出そうとしている者が居るのだろうか?

 

4、短絡的 (衆議院議員 二階堂 孝義

金北山駐屯地の防空壕の指令室に那由他と共に入った。

なんだろう、このアタリマエな感じ……

 

「航空機・・・撤退して行きます」

那由他は報告を聞くと椅子に浅く座った。

なんだか難しい顔をして黙り込んでいる。

口さえ閉じてりゃ美少女なのに……

 

「レーダ―ドームに動きっ。兵士達がこちらへ向かって来ています。」

那由他は腕を組んで何かを考えている。

 

「おいっこちらへ向かってって……危ないのか?」

那由他は立ち上がり叫ぶ

「全軍戦闘状況っ 一人も返すなっ!!」

「ちょっちょっと待てっ」

俺は思わず頭にチョップを食らわす。

「痛った―、何をするんだタカヨシ!」

 

「待てまてまてまてっ、敵は撃ってきているのか?」

(あれっ敵ってだれだっけ?)

 

「白旗を掲げています、投降するようです」

 

「そうかっならば連行しろっ」

那由他は少しホッとしたような表情を浮かべる。

 

止めて良かった……

 


つづく
戦略MAP


<< 第十章  第十二章 >>



この作品はフィクションであり実在する人物、団体等とは一切関係ありません。