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82式指揮通信車


第七章 82式指揮通信車で突っ込もう

 

1、六輪戦車 (衆議院議員 二階堂 孝義)

 

金井駐屯地の牢屋に入れられて5日目の朝、ようやく出してもらえた。

太陽が眩しいぜ!!

しかし佐渡皇国兵士の目がキツい気がする!?
那由多はちゃんと誤解を解いてくれたんだよな?

シャバの空気を味わっていると…デカいタイヤが6つ付いた変な装甲車が現れた。

上部のハッチが開き佐渡皇国軍兵士らしき男が現れ敬礼をする。

おいおい、あの違法ロリ…まさかコイツで突っ込む気じゃないよな……

装甲車のデカさに圧倒されていると、ふいに背後から甲高い声が聞こえた。

「とりあえずコレで突っ込むからよろしくな!タカヨシっ!!」

くそっ!
なんて、なんて……カンが良いんだ俺!!
さすがタナボタで衆議院議員までなった俺、すごいぜ。

俺は振り返り、那由多を睨む。
「タイヤがデカくて多けりゃ強いって訳じゃないんだぞ!」

「小さくて、少ないよりマシってもんじゃね? ほらさっさと乗りなっ。」

那由多は全てを受け流し、ニッコリ笑いながら言った。
「82式指揮通信車、佐渡皇国軍で一番丈夫な装甲車だから安心しろよ、私が前に乗るから、タカヨシは後ろなっ」

那由多は装甲車をよじ登り助手席に座る。

あまりにも腹が立ったので、
「パンツ見えたぞっ!」
と…言いかけて……そっと心にしまう。

屈強な自衛隊員数人に支えられながら何とかよじ登ると、
人が入れそうな丸い穴があり、半円状のフタが二つ付いている。

仕方が無いので丸い穴を梯子を使って降りる。
中は狭く、一人入ったらいっぱいだ。

硬い固定式の椅子に腰を下ろすと那由多の声が聞こえた。

「突っ込んだら上部ハッチを開けて顔を出せ、3秒以内に自己紹介しないと死ぬから気をつけろよっ衆議院議員!」

そんな無茶な……
衆議院議員だって人間なんだぞっ!

蒸し暑く、暗い装甲車の中どん底で……心が叫びたがっているのを感じた。

「相川で牛さんと仲良くするミッションに戻してくれええええええ」

そんなこんなで、僕らを乗せた『82式指揮通信車』は佐渡市役所に向けて走り出した。

 

2、地の獄 (佐渡皇国元帥 近衛侍従長 新田 國子)

 

佐渡皇国軍、軍令部の地下会議室は少女の怒号が響き渡っていた。

「だせっ、だせえええええ、だせえええええ、ここを開けろおおお」
みさを閣下はドアを蹴り続けている。

この部屋に軟禁されて6日、備蓄のスルメが切れて2日……彼女はもう限界だ。

私は新田 園子、佐渡皇国軍元帥にして近衛侍従長であるが、
今は手錠で拘束され、彼女を止める事も出来ない身……

みさを閣下は未成年だからか…手錠の類はされていない、
私たちを拘束した者たちは紳士的で、暴力的な扱いは受けていない。

食事も三食ちゃんと出てくる。
元は佐渡皇国軍地下倉庫に私たちが備蓄していた食料なのだが…
しかしスルメは佐渡ならどこでも手に入るので、あまり備蓄していなかった。

みさを閣下のあまりの狂乱ぶりに恐れをなしたか、扉が開き数人の隊員たちが部屋に押し入って来た。

みさを閣下は取り押さえられ床に組み伏された。
全力でもがき、暴れる。
しかし、屈強なレンジャーが相手では、なすすべもない。

「離してやれっ」

少し遅れて隊長らしき男が部屋に入って来た、
みさを閣下を抑えていた隊員がさっと離れる。

男は名乗る。
「西部方面普通科連隊、佐渡対策特科中隊、第二小隊隊長 本間 光(ほんま ひかる)三佐です。」

彼の名は聞いた事がある、
西部方面普通科連隊のエース、レンジャー小隊を率いる若きエリート

「みさをさんは、体調でも悪いのですか?」
無機質で無感情な喋り方……直感的に理解する、私はこの男が恐ろしい

声の震えを抑えつつ、嫌味をたっぷり込めて言う。
「みさを閣下はイカが無いと死んでしまう病に蝕まれていまして……」

「ほう? それは依存症か何かですかな?」

「そんな処です、人工衛星の事故以来……イカ無しには生きられない体に……」

本間三佐は能面のような顔で答える
「お気の毒に…」

本間三佐は我々に背を向ける。
「分かりました、善処しましょう。」

「しかし、我々も佐渡皇国軍と名乗る輩に包囲されている事をお忘れなく」
捨て台詞残し本間三佐は部屋を出て行った。

3、M号作戦開始 (衆議院議員 二階堂 孝義)

装甲車は佐渡皇国軍令部に向う。
何でこんな事になっちゃったかな……これも参議院銀への避けられぬ道か?

楠みさを奪還作戦、コードネーム『M号作戦』
企画立案は『違法ロリっ子』船崎 那由他だ。

作戦は簡単で単純だ。
82式指揮通信車で軍令部に強硬突入、人質交換の交渉を強引に行う。

人質交換後、俺ごと軍令部を爆破……したりはしない……よね?

軍令部を占拠している部隊も、衆議院議員に銃を向けるようなマネは……しない……よね?
とにかく最初に一発カマすしか無い。

車はテレビ佐渡を超え、佐渡市役所へ近づいた。
後方からテレビ局の中継車が追走する。

ついでにプロパガンダ映像でも撮ろうというのか?

しかし装甲車が突っ込むシーンは各局に高く売れそうだ。
こういう細かくセコい戦術の積み重ねが、佐渡皇国を支えているのかも!?
ついつい買っちゃうんだよな……

軍令部、もとい佐渡市役所が近づく。
ああ、止まってくれないかな?

ふいに那由多が叫ぶ

「タカヨシ、突っ込むぞっ」

前方のモニタに移る佐渡市役所地下の入り口が近づいて来る。
「いやっ、入らない!この車デカ過ぎて入らない!! ストーーーーップ!!!」

「大丈夫だタカヨシ!入るように作ってある!!」

地下入り口に82式指揮通信車が突っ込む。

途端、前後左右に揺さぶられ物凄い音がした

「やっぱり入らないじゃないか!!」
那由多に抗議する。

「大丈夫だっ、隔壁は超えた!上からなら出れる。撃たれる前に自己紹介!!」

俺は仕方が無く上部ハッチを開き頭を出す。

コンクリートの破片が粉塵になり舞っている、
粉塵の合間から自衛隊の兵士が見えた…

これはマズい!!

声の限り全力で叫ぶ。

「衆議院議員、佐渡いいんちょう! 二階堂 孝義!!」

兵士が銃を構えるのがチラリと見えた。

「俺を誰だと思っているのかああああ!!」


4、佐渡委員長 (衆議院議員 二階堂 孝義)

 

そして、何故か那由多や運転手と共に会議室に監禁される。
いやっ自分、佐渡皇国の人間じゃなく…佐渡委員長…衆議院議員………

人質交換する前に俺が捕えられたら終わりじゃね?

穴だらけの計画を立てた本人、ムスッとして口もきかない。

私はここのボスである本間三佐は無表情な顔で見つめられている。

消え入りそうな声で、もう一度言ってみる。
「俺を……誰だと思っているのか………」

「佐渡委員長、二階堂議員。お名前は存じあげております。」

「あの…ぼくは…帰してもらえますよね?」

那由多、ぼくを睨みつける。
いや、ぼく佐渡皇国側の人間じゃ無いんで…

本間三佐は眉一つ動かさずに答える
「もちろん帰って頂いて結構です。しかし我々も出入口を塞がれ、外には出れない事をご理解下さい。」

「佐渡皇国は僕に何もしないので…装甲車を退けたら、出ても大丈夫ですよね?」

「先ほどまで、彼らに拉致されていたのですよね二階堂議員?」

「いやっそれはそうなんです…ケド……」

ダメだ完全に八方ふさがりだ。

那由多がジト目でこっちを見ている。
ぼくは無言で首を振る

いや、どうしようも無いじゃないか、この状況。

那由多は目に涙を溜め、本間三佐を仰ぎ見る。
「実は…私たちが…その男を捕えたのは別の理由が……」

わっストップ!そこまで!
社会的に抹殺されるっ!!

俺はありったけの勇気を振り絞る。
「本間三佐、佐渡委員長として拘束された少女と捕虜の様子を確かめたい。」

本間三佐は無言

静まり返る会議室……この沈黙、いやだなあ。

「了解しました、では議員お一人でお願いします。」

那由多が涙を流しながら三佐に懇願する
「あのっ、私も……みさを姉様に………この男に……された事…………」

くそっ……なんて見事な泣きまね、
何が言いたいかは解ったから、それ以上口を開くなっ!!

「三佐っ!私は歩きたくない!!彼女達をここへ連れて来るんだ」

「しかし議員……」

「だまれっ、佐渡委員長の命令だ!!」

本間三佐は不快な表情を浮かべる。
初めて表情を見せたな

法的に何の権限があるのかグレーな『さどいいんちょう』間抜けな肩書がこれほど役に立とうとは……

 

5、珍しく彼は (佐渡皇国元帥 近衛侍従長 新田 國子)

 

みさを閣下は騒ぎ疲れ、毛布にくるまり眠りに落ちている
先ほどの衝撃にも目を覚まさない

あの衝撃は何か?

何らかの武力衝突があった事は間違いない

北条中将が動いたのだろうか?
だとすると、最終的な強硬手段に出たという事か?

それにしては被害が少ない……艦対地ミサイルならば、軍令部全てが一瞬で灰散と化しているはず

ノックが三回聞こえ、本間三佐が入って来た。

「二階堂さんと楠さんに面会したいという方が隣の部屋に…」
先刻まで無表情だった本間三佐が苦虫を噛み潰したような顔をしている。

この人から感情を引き出す相手…いったい誰?

三佐はみさを閣下をゆすって起す。

極度の疲労状態、熟睡から強引に覚醒させられた閣下は完全に寝ぼけ、フラフラしている。
手錠を外され拘束から解き放たれた私、みさを閣下を抱き支えた。

まともに歩けない閣下を支え隣の会議室につれて行かれた。

部屋へ入ると見覚えのある男が……ふんぞり返っていた。

………タカヨシ!?じゃなかった、二階堂日本大使!?

そして那由多!?
先ほどの衝撃は那由多の仕業?

那由多の顔を見てホッとしたのか、みさを閣下が崩れ落ちる。

二階堂 孝義は珍しく激高した。
「貴様っ彼女に何をしたっ!?」

いつもヘラヘラしている彼、怒りの感情を表に出す処を初めて見た。

本間三佐の顔がまた歪む。
鉄仮面のような三佐の内心が珍しく理解できた。

勿論、私は誤解を解くような事はしない、なぜなら彼は敵なのだから。



つづく
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