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82式指揮通信車


第六章『強襲部隊』

1、衆議院議員と女子中学生 (衆議院議員 二階堂 孝義)

「ろり○ん」
「変態議員」
「れ○ぷ魔」
「誘拐犯」
「女子中学生の敵」

隣に乗ってる那由多(なゆた)から、いわれ無き罵詈雑言を浴びつつ、
金北山(きんぽくさん)に向けて車を走らせる。

ちょっと聞きたい事があっただけなのに……騒ぐから……
いや、いきなり羽交い絞めはまずかったかな?

「後でアイス買ってあげるから、さっきの事は誰にも言わないでねw」

「おっさん、この状況でその対応……日本の法律、舐めてんだろ?」
 那由多は楠みさを閣下がいない所では口が悪い。

いや、しかし君?
日本の法律だと指名手配中の犯罪者だし……逮捕しても問題ないはず!

よけいな事を言うと、ますます在らぬ罪を被せられそうなので…黙って車を走らせる。

「みさ姉にメールうとっくか……」

那由多は目にも止まらぬ速さでスマホを操る。
「私は日本国の大使を名乗る卑しい男に拉致られ、あらん限りの辱めを受けてます。
 いっそ私ごと、このド変態を打ち抜いて下さい。
 体は汚されようとも…心までは、っと……」

「ちょっちょっちょっと待ってね、那由多ちゃん。」
那由多から送信寸前のスマホを取り上げる。

「なんでもするっ。だからさっきの事は水に流して、お願い!!」

「別にメール出さなくても…アンタ思いっきり目撃されてるから、早めに諦めた方がよくね?」

「いや~そこを何とか……軍事演習の一環でした的な対応で……」
我ながら苦しい言い訳。

那由多のスマホが鳴る。
ちらっと見ると……やっヴぇえ『みさ姉』からだ……
これは出ても出なくても大ピンチ!

那由多がふふんと笑う。
「まあ……何でもするってんなら、考えてやっても……」

「那由多ちゃん!、何でもします、衆議院議員バッチに誓って!!」
小生意気な那由多がまるで女神のように見えた!

那由多はスマホをひったくって話す
何とか誤解はといてくれている様だが?

那由多がスマホを投げて寄こす。
「みさ姉が話したいってさ。」

電話を受け取ると、さっきの事や金北山に向かっている事情などを必死に説明する。
この説得に比べれば、選挙演説のなんと簡単だった事か……

「つまりっ、軍事衝突により犠牲の出る事態を避けようと…してるんだけど……」
汗だくで説明する事10分、ようやく納得してくれた様だ。

「じゃあ、タカちゃんと那由多が駐屯地に入れるように言っとくから」

良かった……誤解は解けた、よかったよかった。本当に良かった!!

「タカちゃん、那由多にあんな事したんだから……責任とってね。」
一方的に電話は切れた。

まだ誤解されてるような気もしないでも…しかし最悪の事態は回避出来たようだ。

那由多は深刻な顔で尋ねる。
「金北山(きんぽくさん)の駐屯地に入れって、みさ姉が言ったのか?」

「うん、入れるように手配してくれるってさ。」

「そんなにヤバイ状況か……」
那由多は窓の外を睨み、それっきり一言も口を利かなかった


2、鉄壁の要塞 (衆議院議員 二階堂 孝義)


くねくねした狭い坂道を上る、金北山駐屯地が見えてきた。
那由多は相変わらずブスッとして、口をきいてくれない。

佐渡皇国の民兵達、道路の両端を固めている。
一様に疲れた顔をしているが、眼光は鋭い。

駐屯地の赤い門柱の前、兵士に止められる。
那由多が先に車から降りる、兵士たちが一斉に敬礼をした。

この兵士達は自衛隊出身者だろうか?
動きが他の兵士たちと違う。

那由多に続いて車から降りる、那由多が兵士の一人にボソボソ話をする。

数人の兵士が近づいてきた。

ボディーチェックをされるのかと思っていたら、突然足払いをくらい、転倒する。
抵抗する事無く、組み伏せられる。

「動くなっ」
頭に拳銃が突きつけられ、周りの兵士達も銃を向けている。

えっえっえ?
何かの冗談だよね?

猿ぐつわを噛まされ、両腕を手錠で拘束され連行される。

視線の先にニヤニヤ笑う那由多が見えた。
那由多ああああああ、何を吹き込んだあああああああああ

そのまま一番大きな建物の地下に連れて行かれる。

鉄格子…トイレ付個室……牢屋?
乱暴に牢屋に叩き込まれ、鍵をかれられる。

「冤罪だああああああああ」



3、拘束 (佐渡皇国軍 大元帥 楠みさを)


タカちゃん拘束の報告を受ける。
まったく那由多の悪戯には困った物。

でも、女の子を縛り上げ、車に押し込んだのは事実だから、
しばらく投獄して反省させなきゃね。

タカちゃんが、鉄格子を握って「出せ~」って言っている姿を想像していると、
新田元帥が駆け込んできた。

「みさを閣下!何者かが本部に攻撃を…」

しまった、レーダードームは囮?
本部の守備兵が少なくなった隙を突かれた。

しかし・・・今まで何もして来なかった日本政府
何故、今頃になって強硬手段に出たのか?


外から何か缶のような物が投げ込まれ、目の前が真っ白になる。

スタングレネード?
特殊部隊?

気が付けば、手を後ろに回した格好で、地面に押し付けられ拘束されていた。
頭に拳銃が突きつけられる。

「動くなっ……銃を捨てろ」
男は落ち着いた低い声で警告した。

新田元帥が構えていた銃を下す。

数人の兵士たちが入ってきて、新田元帥を乱暴に拘束した。

手薄になったとはいえ、警備がこうも簡単に突破されるなんて……

これがバラモン……陸自最強の特殊任務部隊……

兵士が無線で連絡をする。
「目標、確保っ!楠みさを、捕縛完了」


廊下から銃声が響く。

「楠みさをは我々が拘束した、銃を下せっ」

立て続けに銃声が鳴り響く。
「やつら、何故停戦しない?」

彼らは勘違いをしている。
私を拘束しても皇国軍は止まらない。

「隔壁を下せ、籠城する」
隊長と思しき男が瞬時に判断する。

軍令部の最深部は隔壁を下す事により、籠城戦が出来る設計になっている。
サイレンが鳴り響き、隔壁が降りる。

1年は籠城出来る設備と物資が軍令部最深部にはある。
機密情報が漏れていたか?

私は悔しさのあまり唇を噛む。

しかし、まだ負けてはいない。
このような場合の対処は北条中将に託してある。
作戦開始まで軍令部を封鎖してしまえば、何ら問題は無い。

もし日本政府が私の命を交渉材料にした場合、軍令部の爆破を命じてある。
佐渡皇国は私の屍を踏み越え、前へ進むだろう。


4、協力者  (衆議院議員 二階堂 孝義)


金北山駐屯地の牢獄に入れられてから、数日が経った。

一応、脱獄を試みる、
とりあえずスプーンで壁を掘ってみる。
掘れない……壁硬すぎ……

それに、ここは地下だ。
地上までスプーンで掘り進むのは……さすがに無理。

食事は出てくるので、死にはしないと思うが、出して欲しいな~

そういえば今、私の立場は何なんだろう?
捕虜なのかな?

廊下の先から足音が聞こえる。
女子の声がする。

この声…那由多っ!
那由多は牢獄の前で止まり、護衛の看守を下がらせる。

「那由多、これはどういう事だ!!」

「女子中学生を拉致った男を拘束して、何が悪いの?」

うっ……それを言われると何も言い返せない。
「アイス……おごってやっただろ!」

那由多は俺を見下す。
「さて、女子中学生拉致魔、お前には二つの選択肢がある。」
「いち、女子中学生を拉致した罪で日本に強制送還。防犯カメラ映像つき。」
げっやっぱり監視されてたのか……

「に、私の言う事を聞いて無かった事にしてもらう。」

「『に』でお願いします」

当然即答する。

那由多の俺を見る目が痛い。
しかし、これも夢の参議院議員生活の為。

那由多は呆れ果てた顔で、タブレット端末を取り出す。
ニュースの動画が流れる。

あれは佐渡皇国軍、軍令部…佐渡市役所?
皇国軍の兵士と思しき一団が包囲している、装甲車部隊やパトリオットが展開している。

那由多が解説を始める。

「みさ姉は今、軍令部本部に捕らえられている。
 捕らえたのは陸上自衛隊の精鋭部隊…」

捕らえたけれど、囲まれてるのは精鋭部隊?

「あいつら、みさ姉と新田を人質に立てこもっている」

なるほど…王様を人質に取ったか。
これで日本の勝ちは確定したな。

「北条は軍令部を破壊するかもしれない、みさ姉ごと……」

なっ?

「みさを閣下は君たちの大将じゃないか?なぜ?」

「みさ姉も承知している事。本当に大切な物は何かって事だ……」

こいつらは、楠みさをの身の上を利用して、日本を変えようとしているんじゃ無いのか?
全く別の目的があるのか?

なんとなく話は読めてきた。
「え~つまり……俺に交渉を手伝えと?」

「カンはいいじゃないか、変態議員。」

変態議員と言われさすがにムっとする。

「最悪、みさ姉とお前を人質交換する。」
いや、俺にそんな価値があると思って無いよ内閣は……

とはいえ新田 園子、元カノも捕まっている訳だし……この状況、仕方がない。
「解った、協力しよう。但し、一つだけ条件がある」

那由多は上気した顔でこちらを睨む。
「条件……聞こうじゃないか。」

「拉致った事は無かった事にしてくれ。」

那由多は思わず吹き出し、笑い転げる。
「解った!その話乗った。よろしく頼むぞタカヨシ!」

『さん』を付けろよ違法ロリっ!!
と心の中でそっと呟く。

つづく
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