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反逆の佐渡





















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イージス艦こんごう

序章『反逆の佐渡』

1、佐渡離反す (衆議院議員 二階堂 孝義)

「みなさーん。本日より佐渡ヶ島は独立する事になりましたー
佐渡皇国をこれからよろしくねっ(^^>☆キラッ」

17歳になったばかりの少女の宣言に政府関係者は我が耳を疑った。
そして幻聴あるいは夢であって欲しいと心から願った。

この頭の悪そうな少女が佐渡王(さどおう)にして佐渡皇国軍の大元帥である『楠(くすのき) みさを』なる少女だ。
長い黒髪、大きく澄んだ瞳、不思議ちゃん系の美少女で公式グッズが皇国軍の財政を支えているとの噂もある程だ。
皇国軍を名乗っておきながら、頂点に立つ者が「王」とは何事か?

この子は大人たちに佐渡王などという間抜けな地位に付けられた哀れな被害者だと、皆が思ったのだが…



西暦2020年7月初等
私は、ゆっくりと進むカーフェリーのデッキで自分の不幸を呪っていた。
二階堂 孝義(にかいどう たかよし)31歳、政治家の秘書から成り上がった衆議院議員一年生、
日本政府の特使として独立を宣言した佐渡に渡ろうとしている。

始まりは3年前2017年の人工衛星墜落事故
某国の稚拙な弾道弾、彼らいわく『人工衛星のロケッ』トが新潟県佐渡の外海府に面する万高中学を直撃。
生徒、教員、近隣住人に数百人の死者、行方不明者を出した。


人工衛星を打ち込んだ相手国が全面戦争の構えを見せた事から、政府は及び腰となり、
「人工衛星墜落事故」として処理される。

マスコミは大いに騒ぎ立てたが3年が経過した現在、国民は怒りと屈辱を忘れかけていた。

2020年5月3日早朝、突如として佐渡皇国軍と名乗る者達が一斉蜂起を起こし佐渡を占拠した

各地の自衛隊から離反者が続出、同時に数多くの護衛艦、ヘリ、戦闘機までもが彼らの自称する「佐渡皇国軍」に下った。

佐渡は食糧自給率の高い地域だ、このままでは長期化は避けられないだろう。
彼らの指導者は非情に気まぐれで、まともな話が通じる相手では無い。


「佐渡王 楠みさを」は佐渡島内の高校に通う現役女子高生だ。

彼女は人工衛星の着弾した中学の生き残りである。
世論は彼女に同情的だ、佐渡皇みさを様ファンクラブの会員は2万人を超えたらしい。

だからこそ政府としても強硬手段に踏み切れないし、強い恫喝なども行えない。
「国民を殺すミサイルを討たず、国民を撃つのか?」
テレビのコメンテーターが連日喚きちらしている。

三年前、自衛隊から再三にわたりミサイル防衛システム展開の具申があった。
しかし、人民民主社会党は無抵抗主義と憲法九条を旗印にして選挙に勝利してきた政党。
半島に関連する団体とのつきあいも長い。
だから遊撃は出来なかった。


私のような政府側の人間から見ても大儀は佐渡皇国にあるように思えてしまう。


イージス艦やヘリ空母、旧式とはいえ戦闘機すら彼らは所有している。
勝ったとしても佐渡島民に相当な犠牲者が出て、我々は後生に虐殺者として語り継がれる事になる。

自分の立場の危うさに背筋が寒くなった。

「なにやっとんじゃ?」
突然背後から肩をつかまれた、振り返ると私が仕える足利一郎衆議院議員がそこにいた。

「なんじゃ?緊張しとるんか?安心せえ、若者の話はワシが聞いて説得しちゃる!
東大紛争の時はなあ・・・」

長く退屈な学生運動時代の自慢話が話が始まった。
いつものように適当におだててご機嫌をとっておくとしよう。


2、反逆者 (衆議院議員 二階堂 孝義)


共に随伴してきたテレビ局のスタッフと共に、カーフェリーを降りる。
銃を持った兵士らしき若者たちが周りを囲む。
テレビ局のスタッフがおもむろにカメラを足利議員に向ける。 議員は軽く咳払いをすると、大きな声で彼らに語りかけた。
「諸君、我々は諸君らと話しがしたくて来た」
「諸君らの気持ちは良く分る」
「しかし、もう止めようではないか」
「話せば解る、私と話をしようじゃあないか」

テレビクルー向けの演出なのだろうか?
数年間一緒に仕事をしている私ですら赤面しそうなほど演技じみた説得だ。
しかし、銃を持った血気盛んな若者を堂々と説得する政治家、バカでも解る良い絵だ。

「全員、整列!」
若い女性の声がした途端、若者達が左右に分かれ銃を胸に掲げた。

純白の制服を着た女性がツカツカと歩み来て敬礼をした。
その美しく琳とした立ち振る舞いは明らかに訓練された軍人のものだ。
「佐渡皇国軍元帥、新田 國子(にった そのこ)です、日本国よりの使者たる方を迎えに上がりました。」

新田 國子…か…
人工衛星が着弾した中学から数人の民間人を救出した英雄。
もっとも政府に対する批判をかわすためマスコミを使い、英雄に祭り上げたのは我々なのだが。
彼女とは親しい仲で…きっとそれで呼ばれたんだろう。
一行は佐渡市の市役所庁舎へと連れて来られた。
佐渡市役所の看板は「佐渡皇国軍国会議事堂」に架け替えられている。

あれ? 佐渡市役所に地下階段がある。
彼らは佐渡市役所に地下壕を掘って要塞化しているのだ。

何年もかけて周到に計画された反乱って事?
打ちっぱなしのコンクリートで出来たトンネルを100M程下った所に鋼鉄の金庫のような扉。
兵士が巨大なハンドルを回すと重い扉がゆっくりと開いた。

50メートルほどの長方形の部屋で奥まった所に黒檀の大きな机があり、
その後ろには佐渡皇国の国旗、そして何故か日の丸が並べて飾られている。

我々が黒檀の机の前まで進むと、大きなプレジデントチェアーがくるりと回転した。

「あら、いらっしゃいw
えーっとそっちのおっちゃんはテレビで見た事がある人だ、私『みさを』よろしくね。」

足利議員はは憮然とした態度で一言自分の名前を告げ、自己紹介を終える。
「足利のおっちゃん。よろしくね」

少女のストレートな子供っぷりに呆れつつ、佐渡王に自己紹介をする。
「私は二階堂 孝義(にかいどう たかよし)、衆議院議員です。」
「そっか、じゃあ、たかちゃんって呼ぶね……でもイケメンだねw」

「おっちゃん達がせっかく来てくれたんだから、面白い遊びを見せてあげる。」
そういうと少女はスッと手を上げた。

扉が開き、数人の男女が入室してくる。
中には見知った顔もあった。

北条時之、日野朝彦…前防衛省事務次官と元佐渡市長…こいつらが黒幕か……

列に小学生高学年くらいの見知らぬ少女が混じっている事に気がつく、
少なくとも政府の諜報機関が作成した佐渡皇国軍のリストには彼女の名は無かった。

舟崎(ふなさき) 那由他(なゆた)と名乗ったその少女は佐渡皇国陸軍司令官で陸軍大将らしい。

呆れ果てて思考停止しそうになったが『舟崎?』佐渡気船の社長の苗字、
佐渡気船の資金力、技術力、海運能力は少し厄介だ。
逆に佐渡気船の船舶さえ抑えてしまえば物資を断てるだろう。

なぜか舟崎 那由他に睨まれている!?
足利先生ならともかく…何故?

「なゆたっ、たかちゃんが怯えてるでしょ。睨まないw」
楠みさをが少女を窘めると那由多はブスッとした表情で目を逸らした。

あまりにもバカバカしい茶番に耐えかねた足利先生が歩み出る。
「君たち!こんな子供を使って何をしようというのかね?」

誰も何も答えない。

みさを閣下だけがいたずらっぽく笑った。
「おっちゃん!パットパットゴルフって知ってるw」

内容もなさそうな一言に幹部たちが明らかに動揺した。
「みさを閣下、この件だけはお考え直し頂きたい。」
一番年長の『北条 時之』佐渡艦隊司令長官(元防衛省事務次官)が卑屈な態度で制止しようとする。

みさお閣下は少しむっとした表情を浮かべ、少し強めに命令する。
「だーめっ、パットパットゴルフ開始っ!!」

何故か手を震わせている佐渡艦隊司令長官を新田國子近衛元帥が叱咤する。
「北条中将、大元帥閣下のご命令です!」

苦虫を噛み潰したような顔をしていた北条中将は一瞬で自分に気合を入れ覚悟を決めた。
「失礼しました。では作戦行動を開始します。」

みさを閣下に一例をすると、北条中将は声をはって命令を下す。
「『強襲戦闘艦こんごう』に発令。ハープーン発射用意。座標、新潟県県庁に合わせっ」

彼らは中央に空洞がある新潟県庁の本庁舎をカップに見立てて対艦ミサイルというボールを打ち込もうとしている。
パットパットは現在展開中のパトリオットミサイル二機の事だったようだ。

あまりにも現実離れした所業にどう対応して良いのか完全に見失ってしまった。

「たかちゃん、おっちゃん、もし外れたりしたら県庁が大変な事になるから電話してあげたら?」

古めかしい通話機能しか持たない黒電話が目の前に差し出される。
私は足利先生に変わり、県庁に緊急連絡を入れた。


3、逆賊 


護衛艦から強襲戦闘艦と名を変えた船『イージス艦こんごう』は静かな海をゆっくりと進んでいた。 
自称人工衛星を迎撃可能位置にいながらSM3を発射せず、歴史に汚名を残す艦船『こんごう』。

国民の盾となる事叶わず、佐渡皇国軍に下ったこの船・・・もし意思があったとしたら、
県庁に向けてハープーンを発射する事にいかなる意味を見出すのだろう?

艦長、『佐藤 政治』は汚名に塗れた盾に語りかける。
「汚名を一身に背負ったとしても…大義の盾になる事こそ護衛艦の名誉じゃないか?」
当然こんごうは答えない。

長年連れ添った佐藤艦長には、この船が決意に燃えているように感じる。
あの事件以来『金食い虫、無用の長物、節穴の盾』と蔑れ・・・長らくドックに繋がれていた屈辱。
自由に大海原を翔るこの船は忘れてはいないだろう。

佐藤艦長がもう一言相棒に呟こうとした時、CIC艦橋に作戦行動開始の電文が届いた。
あの時と完全に逆の状況を設定するとは・・・司令部のなんと辛辣な事か

艦長は軽く咳払いをすると、副長にゆっくりとした口調で指示を出す
「ハープーン発射用意」

「ハープーン発射用意」副長が命令を復唱すると共に各担当が個々の操作を行う。
「新潟県庁庁舎にデイタム設定」
「VLSハッチ開放」
「ハープーン発射準備完了」

「よしっ、ハープーン射出後、本艦は本海域より急速離脱する」

斉藤艦長は自分を落ち着かせるため一度大きく深呼吸をした
「ハープーン発射!撃ちかた始めっ!!」

専守防衛と共に護衛艦の名を捨てた『イージス戦闘艦』は初の実践を経験する。


4、盾と矛 (衆議院議員 二階堂 孝義)


『佐渡皇国軍 強襲攻撃艦ごんごう』からハープーン発射の報が届くと、佐渡皇国軍司令部に緊張が走った。
放たれた矢は確実に新潟県庁を串刺しにする。

新田國子元帥は一点を見つめ微動だにしない。
元佐渡市長の日野首相は明らかに動揺を隠せず、しきりに額の汗を吹いている。

同席させられた足利議員は頭を抱えて小刻みに体を震わせている。

そんな中、楠みさを閣下はイカの丸焼きを頭からかじる。
全員が緊張を隠せない中、美味しそうにイカをほうばるその姿、
彼女がこの場の支配者である事を知らしめている。

新潟県庁を爆破する命令を出した女子高生…この豪胆なまでの無神経さが実に禍々しい。

ハープーンミサイルは日本海の海面すれすれを飛翔し新潟島に接近する。
電子の目は長方形の白いずんぐりむっくりした新潟県庁を捉える。
ハープーンは一度、空高く舞い上がる。

新潟県庁は筒のような形状をしている、その穴にすっぽりとミサイルを落としこむには一旦上空高く舞い上がり、
垂直に近い角度で急降下しなければならない。

元来、対艦ミサイル『ハープーン』はレーダーに写りにくい低空を行き、
目標直前で急上昇して命中精度を上げる『ポップアップ』という挙動を取る事が可能だ。
しかし、この機能をパットパットゴルフに使われるなどと、開発者は思いもよらなかっただろう。

県庁から数キロメートル手前で、空高く舞い上がったハープーンは弧を描く、
徐々に頭を下げ、地面に向かい垂直の角度を作ろうとしていた。

ハープーンの高度が頂点に達しようとした時、周囲の空間に空気振動が走った、 
稲妻のような早さで多数の飛翔物が迫る。

飛翔体は側部に激突、ハープーンは爆散した。

奇しくも自衛隊の『護衛艦ちょうかい』より発射された、シー・スパローと空自のペトリオットミサイルが
ほぼ同時にハープーンを捉えた。
実際にハープーンを撃破して見せたのは、日本国航空自衛隊のペトリオットミサイルだった。

ペトリオット発射中隊では歓声があがる。
海上自衛隊、護衛艦ちょうかいCICでは、安堵と悔しさとが入り混じった深いため息が漏れた。

佐渡皇国軍司令部にもハープーン爆散の報が即時伝えられる。
足利議員は極度の緊張感から開放され膝を折り地面にひれ伏した。

佐渡皇国軍幹部は複雑なため息を漏らす。
そんな者達に一瞥もくれず楠みさを閣下は口に運んだイカを前歯で噛み締め呟いた。
「前は撃たなかったのに…」

そんな一同に気を使う事もなく新田園子元帥が声を張り上げる。
「我が国の飛行機が他国により撃墜されました!これは宣戦布告と取ってよろしいか?」

二階堂孝義はとっさにツッコミを入れる。
「なにが飛行機だ、あれは対艦ミサイルだ!!」

新田元帥は無表情で答えた。
「あれは我が国の飛行機です。空を飛翔する飛行物体です。ドローンと呼称しても良いでしょう。」
あまりにも無茶苦茶で人をバカにした回答だ。

「なら飛行機どうしの接触事故ですねw、遺憾です遺憾の意!!」


新田園子に向かい、子供っぽい嫌味を言って悪びれたが・・・密かに安堵した。

彼らの目的は、3年前の人工衛星墜落事故への再問題提起と自衛隊及び憲法9条の改定だ。
これら茶番は国民へのアピールであり、それ以上でもそれ以下でもない。

緊張した空気を打ち破った楠みさを閣下だった。
「地球を綺麗にする機械を取りに行くロケットだったのに……地球が滅びたら自衛隊のせいだよ。」

当然の事だが…ハープーン対艦ミサイルは大気圏を突破出来ないし、
宇宙空間を航行出来ないし、ワープ機能も実装されていない!波動砲も打てないぞ!!

「たかちゃんはイケメンだから残ってよし!おっちゃんは強制送還ねw」
何の協議も無く…日本国の使者の処遇が確定した。

私と足利先生は銃を持った兵士が二人を連行される。

楠みさお閣下はイカの丸焼きを片手に別人のように怪しく妖艶な微笑みを浮かべる。

「さあ、みんなw 戦争開始だよ。」

 つづく

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この作品はフィクションであり実在する人物、団体等とは一切関係ありません。